丸の内興業有限会社(愛知県)は、愛知県に本拠を置き、家電や自動車部品から食品、セメント等の輸送を手掛けている運送事業者です。
今回は、代表取締役 平野隆広氏、専務取締役 柴田 和義氏に、同社が導入したナビゲーション対応の富士通デジタコDTS-G1Dの活用についてお話を伺いました。

まずは貴社の概要をお聞かせください。
平野 私は大手宅配会社から独立後、2007年に利用運送を手掛ける株式会社テイクオンを立ち上げました。 その後2013年にM&Aで丸の内興業有限会社を吸収し、路線便を扱う主力の運送会社としました。現在は大型車を中心に計80台を保有し、テイクオンは持株会社としています
デジタコを導入する前、どのような課題を抱えていたのでしょうか。
平野 荷物の積み込みに膨大な時間がかかることが長年の課題でした。各ドライバーはお客様先で荷物を積む、他のトラックに場所をゆずる、再び積み込む、などを繰り返しますが、実質的には1時間半程度で済む作業に4時間近くもかけていたのです。
しかも、この大半が待機時間です。車両にはアナタコを搭載していたものの、それだけではドライバーの正確な稼働状況が把握できませんでした。柴田 待機時間については以前から法律で定められていますよね。国土交通省も30分以上の場合は日報に書いておくよう義務付けてきましたが、その記録をどう扱えばいいのか分かりませんでした。
そんな中、なぜデジタコを付けようと思われたのですか。
平野 最大のきっかけは、アナタコの時代にドライバーと音信不通になったことがあったからです。てっきり車内で寝ているものと思っていましたが、実はお客様先で積み込みを待つ間、周辺を走行中にもらい事故が起きていました。ドライバーは交通ルールを守っていたのですが、本当に残念でした。
そこで「事故で数人の人生が変わってしまった。利益よりも安全を優先させよう」と決心し、当時最先端だったクラウド型デジタコのDTS-G1Dを購入しました。2022年4月には待機車両を除く全てのトラックに導入済みです。安全面ではどのような効果がありましたか。
平野 ドラレコ機能により「いつも見守られている」という意識がドライバーに備わったことで、交通事故の件数が明らかに減りました。急ブレーキや急ハンドルの回数も目に見えて少なくなりました。
しかし「デジタコは優秀でも、搭載するだけでは意味が無い。いかに使いこなすかが重要だろう」との思いがありましたね。そこでトランストロンのコンタクトセンターに何度も質問し、弊社に合うようカスタマイズしていきました。 例えば、弊社の車両はリミッターが時速92kmに設定されていますが、デフォルトでは時速80kmを超えると警告されます。そのままではドライバーのストレスになるので、電話で聞きながら仕様を変えたわけです。こうした小さな変更を積み重ねていきました。 コンタクトセンターは24時間対応なので、昼夜を問わず聞いて、聞いて、それでも聞きました(笑)。だから弊社はDTS-G1Dを達人レベルで使いこなせると思います。コンタクトセンターの対応はいかがですか。
柴田 実は今朝も電話したばかりです。警告音の件もそうですが、弊社の仕様変更が法律に触れないか知ろうと、よく確認の連絡を入れています。 法改正も頻繁にありますが、トランストロンは変更点を熟知し「その運用方法で構いません」「確認して折り返します」と判断してくれるから安心です。
そもそもトランストロンをご存じになった経緯を教えてください。
柴田 当初は他社のデジタコを検討していましたが、操作方法が複雑で、弊社のベテランドライバーには不向きだと思いました。 その流れで、ネットで富士通デジタコの存在を知り、トランストロンに問い合わせました。顧問社労士にその旨を話すと「国土交通省からも推薦されているので間違いないでしょう」と太鼓判を押されましたね。 続くデモンストレーションも非常に好印象でした。
しかもDTS-G1Dは大画面のタッチパネル式なので高齢ドライバーも操作しやすく、商用車ナビゲーション機能も便利です。 地図情報も定期的に自動更新される上に無料ですよね。業界関係者からも、よく「こんなに優れたデジタコはないよ」と言われます。デジタコの導入で会社のルールが変わったと伺っています。
平野 デジタコのデータを基に就業規則を見直し、2023年3月末で全て変更しました。現在、業界は2024年問題に揺れていますが、弊社は対応済みです。逆にアナタコのままだったら「従業員に労働問題で訴えられたら何も証明できない……」と、慌てていたでしょう。
柴田 デジタコの良さは「ダメなものはダメ」と見える化してくれることです。私たちの業界でよく問題になるのはドライバーの拘束時間ですが、アナタコだと「何がダメなのか」さえ教えてくれませんよね。
平野 「勝手に分割休息を取る」「予定時間よりも極端に早く出発する」といったケースも防げるようになりました。
新たな就業規則で重視されたことは何ですか。
平野 現在の法律と乖離しないことです。正直、それまでは労働基準監督署が示す数字と、実際の運行時間がかけ離れていました。だからこそ、デジタコで待機時間や休息時間を明らかにすることが不可欠だったのです。
また、賃金規定を改定して給与を連動式にしました。今回の見直しで全体的に労働時間が短縮し、支給額も減少するわけですが、その解消に向けてボーナス制度を新設しました。従業員に「労働時間は短くても一定額は支払えます」と提示できるのも、トランストロンのおかげですね。 アナタコだと車両の状態は分かっても、ドライバーの行動までは把握できません。休息時間なのか、積み込み中なのか、扱い方一つで未払い問題に発展する可能性もあります。それがデジタコだと、各自が何をしているのかを正確に記録できますよね。会社のルールを変えるのは相当なご苦労だったと思います。
平野 顧問社労士と共に4カ月以上かけて改定しました。デジタコを“搭載する”のではなく“使いこなす”ことを重視した結果、一から会社を作り直すことになったのです。 もちろん苦労はありましたが、本腰を入れて安全や社員と向き合うなら、ここまでやり切るべきだと思いました。
柴田 多くの他社も同様かもしれませんが、それまでの“ありきたり”の就業規則を土台に、延々と打ち合わせを重ねました。まさに頭から煙が出るようでしたね(笑)。
平野 さらに、従業員には通常の健康診断に加え、動体視力や無呼吸症候群の検査も受けてもらうことにしました。この結果が蓄積されると「あのドライバーはこの症状かもしれない」と、日頃から予測できるようになります。
こうした経験をデジタコのデータを照らし合わせることで、弊社ならではの知見がますます磨かれていくと感じます。こんなメリットがあることを、他の運送事業者も知ってほしいですね

デジタコを導入し、お客様からの評価はいかがでしょうか。
柴田 業務に透明性が出たことで、新たに大手自動車会社との取引が始まる予定です。
先方からコンプライアンスに関連した全32問のチェックシートを渡されていて、目を通したところ現時点で31問をクリアできる見込みです。あとは社内用の掲示物を作れば胸を張って全問回答できます。もしデジタコを導入してなかったら、結果は8問でしたね。平野 先方には「デジタコを導入した会社と安心して付き合いたい。だから丸の内興業に任せたい」との思いがあるはずです。 やや厳しい言い方ですが、安全や従業員を守るためにお金を使いたくないのであれば、運送会社を畳んだほうがいいでしょう。それぐらいの決意が必要だと思います。
改善を進めると、理解あるお客様から次々とオファーが届くようになります。良い条件を提示してくれる企業とお付き合いし、高単価の仕事にチャレンジしていきたいですね。デジタコの導入は運賃交渉にもつながるのですね。
平野「私たちは設備投資でデジタコを導入しました。こんなに安全性を高めているので、対価として値上げを検討してください」と、正当な理由を掲げられます。逆に企業努力が無ければ「じゃあ、他の会社に依頼します」と一蹴されてしまいますよね。
実に簡単な話で「丸の内興業なら2024年問題も乗り切れる」と示すことです。つまりデジタコの導入は、十分に運賃交渉の材料になるでしょう。今後の目標をお聞かせください。
平野 設備投資を続け、適切なルールの下で楽しく、温かみのある組織にしたいです。この一択ですね。うれしいことに、社内には父子2代で勤める従業員もいて、こんなにありがたいことはありません。
それでも「いい会社だね」よりも「強い会社だね」と言われるようになりたいです。目先の勝ち負けに流されず、どんな逆境も跳ね返せるようなたくましい集団を目指します。ありがとうございました。
