歴史でひもとくトランストロン
設立前夜
いすゞ・NAVi5への挑戦


1970年代、各自動車メーカーがオートマチックトランスミッション(以下、AT)搭載車の比率が高まりはじめていました。
富士通といすゞは、マニュアルミッションの操作を、コンピューター制御で行う方式で、ATのような快適性とMTのような操作性の実現を目的とした、イージードライブシステムの開発をスタートさせました。


機械式があたり前の時代
当時の主要機能を制御する方式は機械式だった為、コンピュータの制御信号によって動作を確立する「バイ・ワイヤー」はまったく信頼されていない時代でした。
そのため、コンピュータ制御への信頼を得ることに多くの時間と労力を費やしました。
先例がなく、概念すら定まっていなかった自動制御に果敢に挑戦したNAVi5の開発が、富士通といすゞの合弁会社であるトランストロンの設立のきっかけとなりました。
黎明期
いすゞ向け製品開発の活発化
独自製品を開発し、一気に国内商用車用で普及しました。
HSA(坂道発進補助システム)
坂道発進が楽になる上に、ブレーキペダルから足を離しても一定時間ブレーキがホールドされるため、坂道で下がってしまうことが防止できる装置。
キックドライブ
(発進駆動補助装置)
空車から定積に近い状態まで駆動軸重を増加させ、滑りやすい路面での発進性・走行性を向上させます。
いすゞ車用「キックドライブ」として世界初の量産化に成功しました。
AMTの商品化、いすゞ車の標準装備へ
クラッチ操作することなくMTの操作を可能にする「AMT
(Automated Manual Transmission)」の開発、商品化に成功。
・クラッチフリー(1997年)
・セミオートクラッチ(1999年)
・デュアルモードMT(2000年)
事業開拓期
アレイマイクビジネスへの参入
2004(平成16)年に道路交通法が改正され、運転中に携帯電話を使用することが禁止されたことを背景として、アレイマイクの開発が始まりました。
08Mアレイマイク(初代アレイマイク)
音声認識用、ハンズフリー通話用、アクティブノイズキャンセラー用のマイクを1台に統合した車載用マイクユニットであった。
アレイマイク累計販売台数3,000万台達成(2024年)
センサビジネスへの挑戦
トラック向けセンサ、シェアナンバーワンメーカーへ
いすゞ車全車に標準装着されるアクセルセンサ、国内大型車4メーカーに供給する車高センサ、AMT向けギヤポジションセンサを量産化に成功。
加えて二輪車向けギヤポジションセンサの量産化を果たしました。
発展期
全日本ロードレース選手権に
参戦
トランストロンで開発したクイックシフトセンサを搭載した二輪レース車両が、全日本ロードレース選手権に参戦しました。
クイックシフトセンサの量産化に成功
開発中のセンサを二輪レース車に搭載するといった活動を通じて、2020年度には国内初のシフトアーム型クイックシフトセンサの量産化に至りました。
「2019年度GOOD DESIGN
AWARD」受賞

ITP-WebService V3
(クラウド型運行支援サービス)
富士通デジタコに記録された運行データやドライブレコーダーの映像データなどを取得し、車両の運行支援や運行管理をリアルタイムで行うシステムです。
ドライバーと管理者が見やすく直感的に操作できるUIデザインの構築により、変化し続ける情報を共有・把握しやすい運行管理システムを開発。高度化・複雑化する運行管理業務の多角的な支援と運送業務の負荷軽減につながる、高機能性とUIデザインが評価されました。
みまもりデータで
物資輸送支援
支援物資輸送に欠かせない道しるべに
2011(平成23)年3月11日に発生した東日本大震災では、いすゞの「みまもりくんオンラインサービス」の搭載車両から収集したデータを通行実績として集約し、株式会社マピオンが「被災地域のトラック通行実績情報マップ」としてインターネット上で公開した。